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ております。今後は新海洋法条約の批准に伴い、利用国として政府がマラッカ・シンガポール海峡の通航問題のためにより一層力を入れていただきたいと思います。
それから、海難事故が国民生活に与える影響ということでございますが、例えば輸入原油を取り上げてみますと、おおよそ日本の原油輸入量は一日当たり約六十万トンと言われています。一九八九年の三月にアラスカで座礁したエクソン・バルディーズ号のような大型の原油タンカーは、約二十万トンの原油を運ぶことができますから、このような大型原油タンカーで毎日三隻分の原油を日本は必要としているわけでございます。
もしこのうち一隻が事故を起こしますと、日本が一日に必要とする原油の、実に三分の一が滞ってしまうということになります。
また、そればかりでなく、エクソン・バルディーズ号の座礁事故が、もし、先程申し上げた東京湾や伊勢湾や大阪湾あるいは瀬戸内海で起きたらと考えますと、それが引き起こす環境汚染が国民生活に及ぼす影響は計り知れないものがあります。
いずれにしましても、私どもはどんな小さな事故でも、それが大きな影響を及ぼしかねないということを肝に銘じて、事故防止に万全の対策で臨んでいるとご理解願いたいのです。
吉村 阪神・淡路大震災でなくなった方が、六千三百人余り、けがをされた方が四万人に上がっているのですけれども、あのような震災時は、道路交通ではだめと考えるべきです。それに代わる交通手段は空と海しかないわけです。そういった面では、海上保安庁の巡視船艇も今後災害対応をお考えになった新しい船をお造りになると伺っておりますが、災害対応という面では、どのようにお考えでしようか。
土坂 災害が起きますと、まず救難をやらなければなりません。それから復旧、復興となるわけでして、救難は結局、救援物資を輸送する、あるいは負傷者を運ぶということであります。神戸の場合は、陸上交通網が切断されてしまいましたから、海か空しかない。飛行機は、飛行場がなければ降りられませんから、ヘリコプターになります。ヘリコプターは、人にしろ物にしろ輸送力は限定されます。従って急場で必要なものをたくさん運ばなければならないときに、ヘリコプターだけではとても足りません。そうすると海からの輸送が大変大事になります。
現に、海上保安庁は全国から船と飛行機を動員いたしまして、海

 

 

 

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